第12章 炎の柱 vs 炎の継子 +
「師匠が弟子に簡単に負けるようでは示しがつかんからな!……しかしだ。君も攻撃、防御共に見事だったぞ。呼吸の切り替えはもちろん、やはり壱ノ型の改だな。あれは素晴らしかった!」
杏寿郎からの労いの言葉に七瀬は胸が温かくなる。
「ふふ。ありがとうございます」
「とは言え、体力は更につける必要がある!足が良くなったら、体力強化の稽古を追加するから、精進するように」
「……はい。頑張ります」
『また増えるのかあ……』
もう苦笑いするしかない七瀬は、彼の背中に頭を当てる。
『師範の背中…大きくてあたたかいなあ。すごくすごく……安心する』
心地よい安心感と疲れで、継子はすうっと寝入ってしまった。
「ん?寝たか」
杏寿郎が後ろを振り向いて彼女の様子を確認すると、そこには。
「しはん……いのすけ……ダメ……私のカステラ食べないでください……」
「ははっ!全く……夢の中でも食べるぐらい好きなのだな」
『この小さな体で本当によく頑張ってる。共にもっと強くなろう、沢渡』
杏寿郎はそれまで歩いてた足を早めて、煉獄邸までの道を走り出した。緋色と茜の初めての炎武(えんぶ)は、師範の勝利で幕を閉じた。