第12章 炎の柱 vs 炎の継子 +
★
「お帰りなさい、兄上、七瀬さん!……って、えっ??どう言う事ですか?」
「見ての通り、沢渡をおぶっている!!」
「師範……そうではなくて、千寿郎くんはどうして私がおぶられているのか理由が知りたいのだと思いますよ?」
「む!千、それは真か??」
いつものように兄と継子を玄関で迎えた千寿郎。杏寿郎の天然発言に対し、冷静に突っ込みを入れる七瀬。
それに感心しながら、兄からの問いかけに「はい、そうです」と苦笑しながら返答をした。
『………杏寿郎の継子か。くだらん。どうせ、大した者ではない』
玄関から自室まで届いた三人のやりとりを聞きながら一人ごちた元・炎柱の槇寿郎。その右手にはいつものように酒瓶がある。
数ヶ月後、その「くだらん」とぼやいた七瀬に改心させられる事を彼はまだ知る由もない。