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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第63章 紫電の言伝を茜色の君へ



「杏寿郎さん、聞いてもいいですか?」
「ん?どうした?」

カステラが乗っている皿が空になると、七瀬は質問をしてきた。

「巧……私への言伝以外にも何か言ってたんじゃないですか?」
「驚いたな、何故そう思う?」

俺は少し目を見開いてしまった。

「彼、肝心な事を結構言ってくれなかった時があって……だからもしかしたらと」

少しだけ胸がチリ、と痛む。むう……これは嫉妬だな、間違いない。

「確かに言っていたな。聞きたいのか?」
「はい」

愛しい人がこう言うのだから話さないといけないか。
俺は「うむ」と1つ頷き、あの時の事を振り返り始めた。











十二鬼月が出現したらしい。
隊士が8人程先発で向かったが6人やられ、残りの2人が応戦しているとの事だがどうにも分が悪いと要から伝達が入る。

2人の内、1人は以前任務で何度か一緒になった事がある桐谷くんだと聞いた。穏やかだが、意志は強く剣技もなかなかに素晴らしい。

もうすぐ鳴柱になると先日報告を受けたが、彼は十二鬼月との対戦がまだないと言っていた。

無事でいてくれ———


森を一旦抜けると、広い更地に出た。やられた6人の隊士は首を胴体から切り落とされていたり、四肢を噛みちぎられていたり、内臓を引きずりだされていたり……と元の原型をとどめていなかった。

隠はまだ到着していない。

桐谷くんはどこだ?
鬼の気配が完全にない事を確認すると、俺は彼を探し始めた。

「うっ……」
「大丈夫か?」

自分が今いる場所より後方3メートル程の距離から声が聞こえた。

向かってみるとそこには何回か吐血をして、ほとんど虫の息と言う状態の隊士がいた。

青紫色の羽織りを着ているので桐谷くんで間違いなさそうだ。


「その声……炎柱……ですか」

「ああ、そうだ。しかし君はそれ以上喋らない方が良いのではないか?」

吐血した量、息がしづらそうな状態から察するに彼は残念ながら助からないだろう。

「いえ、お伝えしないといけない事が……あるので……聞いて……ください………」
「わかった。話を聞こう」

俺は彼の傍に片膝をついた。


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