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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第60章 茜が沈む、緋(あけ)が昇る ✴︎✴︎









「そうか!完成したか!」
「えっ?自分だけの型?」

神宮内の位置確認を兼ねた散策に向かう前の事だ。
炭治郎とカナヲには先に行ってもらい、七瀬はその場に残った杏寿郎と善逸に型の話をしていた。

「はい、私がこの型を繋ぎ始める頃合いを連撃の合図にしませんか?」

「合図……?」

「うむ!」

「鬼の事前情報を聞いて、自分なりに決定打になる攻撃方法はどんな物か考えたんです」

速さの雷の呼吸と鬼と同じ属性である炎の呼吸。この2つを合わせれば、なかなかの連撃になるのではないか?

七瀬はそんな事を思いついていたのだ。

「手順としては—— まず……」













「壱ノ型 —— 霹靂一閃・神速」

ビリビリ、と善逸の周囲に浮かんでいる稲光が鳴る。
彼は通常の壱ノ型よりも段違いの力強い踏み込みで地を蹴った。
瞬間、山吹色の羽織が鮮やかに舞い上がった。

炭治郎と杏寿郎の攻撃の合間に夕葉の間合いへ入り込み、鬼の左腕をザクッと斬り落とす。

『何て速さだ!鬼の俺の目でも捉えきれない型なんて……』


「壱ノ型 —— 不知火」
続いてゴウ……と杏寿郎が横一閃に薙いだ炎は、夕葉の右上腕を熱風と共に切り裂いた。

『くそっ!再生に時間が……』
霹靂一閃と不知火により切り落とされた両腕が鈍い音を響かせながら地面に落下する。


そして ——

「下弦の壱・夕葉!魔を斬る呼吸にて、お前の頸を討ち取る!」

七瀬がグッと腰を落とすと、左脚と後ろに下げた右脚に最大限の力を込める。その構えは不知火と同じ物だ。

彼女の周囲が善逸と同じように稲光で包まれ、色は炎柱である杏寿郎の日輪刀と同じ緋色(あけいろ)である。



「炎の呼吸 —— 終ノ型 」

バチ、バチ、と稲妻の光が増し、響く音も一際大きくなる。


『この先、自分だけの型とか見つけたりしてな?』
思い出すのは以前の恋人である巧の言葉だ。

『見つけたよ、巧……』

「 ——— 炎雷(えんらい)——— 」

ダン、と右足で地を蹴った七瀬が着用している青紫色の羽織が翻る。


ドォォォォン!!!!!




この夜、鹿島神宮に2つの雷(いかづち)が落ちた。




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