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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第60章 茜が沈む、緋(あけ)が昇る ✴︎✴︎



「七瀬もしょっちゅう君を称賛しているぞ?我妻少年の壱ノ型は本当に凄い、自分にはあそこまで極める事は出来ないと思う……と」

「そうですか、煉獄さんにもそんな風に言ってくれているんですね」

ああ!と力強く頷いた杏寿郎は善逸の右肩にぽん、と自分の左手を乗せる。

「七瀬ちゃんは煉獄さんの継子になってから、本当に努力を重ねて来たと思います。水の呼吸だけじゃなくて炎の呼吸も使えるようになった。一つの型しか使えない俺からすると、羨ましい限りです」

「そうだな。竈門少年にも言えるが、2つの呼吸が使用出来ると言うのはなかなかある事ではない」


「…………」
「どうした、急に静かになって」
フッと思い詰めた表情になる善逸を杏寿郎は不思議に思っている。


「いえ、その七瀬ちゃんの努力なんですけど。もしこの先それが覆される事があったら、どうなるんだろうって……」

「ふむ、例えばこんな事例か?」







“やって来た事を全て否定される……言うなれば全否定”










『何?…何を言っているの?この人は』

七瀬は夕葉から思いもよらない事を口にされて、動揺していた。

「あの雷の隊士を殺した日、お前に血鬼術をかけたんだよ。七瀬の血の質は元々俺に非常に近くてさ、だからより近づける為に施した。ああ正に俺のここから流れている奴だな」

夕葉は七瀬に先程切断された自分の両腕を彼女に差し出すように前方に向ける。肘の断面からはポタ、ポタ、と赤黒い血液が地面に落下して、彼が立っている周辺は鉄の臭いが充満している。


「お前は元々水の呼吸を使用していた。属性が炎とは正反対だったよな。おかしいと思わなかったか?いきなり対比する呼吸が使えるようになって」

『そんなの!散々おかしいって思ったよ!!』

「炎柱とお前って恋人同士なんだろ?」

「………どうしてあなたが知ってるの」

七瀬は混乱しつつある思考を何とか保ちながら、声を絞り出す。


「お前の血と俺の血は媒介として繋がっている。だから全部知ってんだよ。お前があいつに近づきたくて、必死になってたのも……あいつと同じ呼吸を使えるようになって、飛び上がるぐらい嬉しがっていたのも…」


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