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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第60章 茜が沈む、緋(あけ)が昇る ✴︎✴︎


「面白くねェ……」
「そうですか?私は微笑ましいなあって思いましたけど」

兄弟子も全く同じ事を言った —— そう実弥に告げると瞬時に顔色が変わる。それはそれは大層不愉快そうに、だ。

「お2人、結構似ている所があると思います」
「おい、ぶち殺すぞ…」

ぎらりと風柱の視線が炎柱の継子を睨みつける。

“睨むのは話を聞いてからにしてほしい” そう七瀬が告げると、了承の返事をする実弥である。

これは、彼とある程度親しくならないと見れない光景かもしれない。


「人に誤解されやすい」
「んー……まぁそうだなァ、間違っちゃいねェ」

「面倒見が良い」
「ちょっと待て、冨岡がかァ?」

「ええ。そして優しいけど、もの凄くわかりにくい」
「沢渡…てメェ、喧嘩売ってんのかァ??」

実弥の背後にメラメラと炎が見えるが、七瀬は怯む事なく話を続ける。


「……まあ、ざっとあげてみましたけど。こんな感じですね」
「やっぱり面白くねェ……」

“食うぞ”と一言断り、最後のおはぎを実弥は口に入れた。
ゆっくりと咀嚼して、湯呑みのお茶を喉に流し込んでいく。


「戦闘の形は真逆だから、お互いがない物を補い合えるんじゃないかと思いますよ。お2人技術も高いですし、良い連携攻撃が出来そうです」

「ふゥん、そんなもんかねェ?」

「因みにですけど、不死川さんと杏寿郎さんはお互いがお互いの良い所を引き出せると思います」

「面白そうな話じゃねェか、聞かせろや」

杏寿郎の名前を出した途端、それまで真っ直ぐに向けていた体を七瀬が座っている方向に向ける実弥だ。

「はい……」『この違い……』

それから七瀬は互いの剣士としての長所を挙げていく。

「炎の呼吸も風の呼吸も攻撃を主体とする型ですよね。お2人は性格もですが、積極的に行動出来る性質だから合ってると思います。ただ、杏寿郎さんは力で魅せる。不死川さんは技術で魅せる。ここは違います」

「お前、よく見てんなァ」

「……ありがとうございます。有難い事に、優れた技術を持った剣士と稽古出来る機会が普段からありますからね。観察しなきゃもったいないです」

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