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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第60章 茜が沈む、緋(あけ)が昇る ✴︎✴︎


4日前の月曜日 —— 水柱邸にて。


「水の呼吸 —— 肆ノ型」
「打ち潮」

義勇が手にした木刀周辺から波がうねるように現れる。
彼がそれを振ると、不規則な動きをする水流が目の前の相手に打ちつける如く。
ザン……と言う音と共に2回程、放たれた。


『得意な型だけあって、どの型よりも完成度が高い。あれ……試してみよう』

七瀬はスウ.......と息を整えると、呼吸を水に変えてこの合わせ技で迎え撃った。

「ねじれ渦・流流!」

彼女の木刀の周辺にも水流がザン……と波打つように漂い、それを空気と絡めていくように、一回転、二回転と振るう。
すると義勇の連撃技である打ち潮がゆっくりと確実に七瀬が作り出した水の渦にからめ取られていった。

ほう、と珍しく目を見開いた水柱が続けざまに放ったのは弍ノ型だ。

「—— 水車」
「参ノ型 —— 流流舞い!」

ぐるん、とまさしく水車が回るような型が放たれたが、これにも七瀬は対応した。

『なるほど……甲(きのえ)に上がっただけはあるな。しかし、ここはまだ甘い』

「いたっ!!」

バシッ バシッと義勇の木刀が七瀬の両すねを打ちつけた。

「足捌きが必要な型は、最後まで気を抜くな」
「はい、ありがとうございます」

木刀を自身の横に置いて、すねを両手でさすっている彼女は両目から涙を滲ませながらも兄弟子にお礼を言った。









「…………美味い」
「本当に美味しいですよね、塩大福」

義勇と七瀬は縁側でお茶を啜りながら、好物である甘味を食していた。

「次の任務は桐谷を殺した鬼が関与しているらしいな」
「はい」

「あまり気負うなよ」
「………はい」

それから一旦口を閉ざした義勇はお茶を啜って、大福を口に入れた。七瀬も同じようにお茶を啜りながら大福をほうばる。
ゴクン、と義勇の喉が上下した瞬間。再び寡黙な彼から言葉が紡がれた。

「沢渡」
「はい」

「……………」 「……………」


「冨岡さん?」







「死ぬなよ」




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