第12章 炎の柱 vs 炎の継子 +
今度は杏寿郎が自分がいる場所から素早く踏み込むと、木刀を七瀬に打ち込んだ。
カン、カン、カン、カン、カン ——
七瀬は彼の攻めを狂いなく、払っていく。一瞬の間を見極めて、踏み込んで突きを入れるが、簡単にバシッと払われてしまった。
打つ、払う、打つ、払う、それが続く。
『一太刀一太刀がいつもより格段に重い!これが師範の呼吸か…一瞬でも気を抜くと腕が持っていかれそう』
継子は師範の木刀を一度振り払うと、後ろに素早く下がって、体勢と呼吸を整える。
「炎の呼吸———」
「炎の呼吸 —— 参ノ型」
その間に杏寿郎が地面を蹴り、高く飛ぶと間髪いれずに七瀬の頭上から木刀を振りおろす。
「気炎万象」
激しく燃え上がる炎が襲いかかって来た。
「肆ノ型・盛炎のうねり!!」
七瀬は大きな渦を描くように木刀を振り、杏寿郎の攻撃を回避する。
続けてグッ……と左足を踏み込んで、向かって行く。
下段から上段に一度振り上げ、杏寿郎の木刀を払う。そこから怒涛の勢いで攻めこんだ。
——— カン、カン、カン、カン、カン、カン!
『集中、集中……』
七瀬はいつも稽古中に言われる言葉を胸の中で繰り返していた。そして目の前の炎柱にひたすらに向き合う。
『うむ、良い集中力だ!』
杏寿郎は彼女の木刀を狂う事なく払いながら、向かってくる継子を褒めた。
打ち合いがそのまま30分程続く ——