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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第60章 茜が沈む、緋(あけ)が昇る ✴︎✴︎



それからしばらくして電車は成田駅に到着した。
「ようやく成田ですね。後どれぐらい乗っていれば良いんでしょう?」

七瀬がこう言ってしまうのも無理はない。東京駅を午前中に出発して早2時間半電車に揺られているからだ。

「ここから5駅行った先に佐原と言う駅がある!電車はそこで終いだ。後30分だな」

「わかりました。佐原からはどうやって鹿島神宮まで向かうのですか?」
彼女は右隣で時刻表を確認している杏寿郎の手元を覗き込みながら、そう問う。

「うむ!そこからだと、車で約25分との事だ。従って……」









「ありがとうございましたー!またのご利用をお待ちしています」

七瀬がバタン、と今しがた乗って来た車の後部扉を手動で閉めると、運転手を乗せた車は走り去って行く。

佐原駅に着き、そこからタクシーに乗車した5人はようやく鹿島神宮に辿り着いた。

併設した駐車場に降りたすぐ近くには鹿島神宮の玄関口である大鳥居がある。


「はあ〜後ろに4人はキツかったね……」
「うん……でも着いたね、とうとう」
『長かった……』

善逸に話しかけられた七瀬がその大鳥居を見上げる横で、カナヲはようやく目的地に着いた安堵感でいっぱいになっていた。


「すごく澄んだ匂いがします……良い場所ですね」
「うむ、そうだな!竈門少年」

「けれど、悲しい匂いもほんの少しだけ香ります」
「………ああ」
一度両瞼を閉じ、再度開いた杏寿郎は”進もう”と4人に声をかけて大鳥居をくぐっていく。






「初めまして…炎柱様、隊士の皆様。ようこそ鹿島神宮へ。遠い所をありがとうございます。私は昌子(しょうじ)と申します」

殺された巫女の父親 —— この神社の神主である男が皆(みな)を迎え、神社に隣接した長屋に招いてくれた。
娘を失い、物悲しい雰囲気がどこか漂うが、さすがこの神社を取り仕切る故か。佇まいは凛としている。

「お初にお目にかかります。私は鬼殺隊炎柱、煉獄杏寿郎。昌子殿、この度はご愁傷さまです。心よりお悔やみ申し上げます。又御息女の四十九日も明けてない中対応して下さった事、我ら鬼殺隊一同感謝しております」


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