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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第60章 茜が沈む、緋(あけ)が昇る ✴︎✴︎


「伊勢任務、お疲れ様でした!神器……色々な意味で重いと思うので、俺他の荷物持ちますよ!」

「少年、気遣い助かる!では頼めるか?」

はい!……と炭治郎は杏寿郎が持っている風呂敷を受け取る。


「ありがとう、では俺と七瀬は切符を……」

「はい、これ。先に買っておきました」

杏寿郎が切符を購入しようと右足を出そうとした瞬間、2枚分の紙片をさっと差し出すのは善逸だ。

『善逸……本当にこう言う所、頭回るな。さすが町育ち。そしてお館様、やっぱり完璧な采配!』
目の前でその様子を見ながらグッ……と右手に力を入れるのは七瀬。


我妻善逸。
彼は普段とてもやかましい。しかしその実、周囲の事をよく観察しており、一般常識も割とある性質。
七瀬が今言ったように、彼が町育ちと言う事も関係しているかもしれないが、会話がすれ違う事が少ないのだ。

杏寿郎と炭治郎……これは伊之助もだが、やや「天然」な性質がある。カナヲはそれにあてはまらないが、口数があまり多くない。

「警官にバレたら大変かな?と思ったので、日輪刀は背中に隠しました」

「我妻少年、丁度俺もそれを問おうと思っていた!」

よくよく観察すれば”出来る男”
それが善逸と言う人物である。

『善逸もだけど、杏寿郎さんも本当凄いよね。私はそこまで考えれなかった……』

2人が鬼殺隊本部から剣と鏡を受け取った後、東京駅に向かう前に彼が七瀬に言った言葉がこうだ。

“帯刀が周囲に知られると、警察の耳に入る可能性が高い。背中に忍ばせておこう”

—— そう。
大正時代は”廃刀令”が浸透している世の中。


「七瀬ちゃん、鏡重いでしょ?私風呂敷持つよ」
鈴がちりんちりんと鳴るような声で七瀬に声をかけたのはカナヲ。

「ありがとう、お言葉に甘えるね」
にっこりと可憐な笑顔が七瀬のややこわばっていた表情を柔らかく崩した。



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