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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第60章 茜が沈む、緋(あけ)が昇る ✴︎✴︎



「小町、ごめんね。今回は3人分なんだ…」


申し訳なさそうに両手を顔の目の前で合わせた七瀬は相棒の鎹鴉に向かって文を届けてもらうよう、お願いをしていた。


「了解!ソレダケ大事ナ用件ッテ事デショー。任セナサイ!」

バササ…と同意の合図として、小町は一度両の羽根をはためかすと、七瀬の左肩から鮮やかに飛び去った。



「文か?」

自室の縁側前に腰掛けていた彼女に左側から声をかけたのは杏寿郎だ。彼は近くまで来るとごく自然な動作で、七瀬の隣に腰掛ける。


「はい、アオイちゃんと……それから柴崎くんと真野くんに」
「む?少年達にもか?」

アオイにはある依頼を。
後輩隊士達には2通共同じ文面をしたためた。

詳細は以下の通りだ。



【柴崎(真野)くんへ
日々の任務お疲れ様です。
伊勢任務にあたって伝えておいた方が良いと思ったので、一応書いておくね。

師範も伊之助もやや天然な所があり、会話が噛み合わない事が度々あるかもしれません。
お手数ですが、それが見受けられた際は軌道修正をお願いします。

大事な案件できっと緊張していると思うけど、任務に関しては師範はもちろん、伊之助もとても頼りになるのでそこは安心して大丈夫です。

よろしくお願いします。
沢渡七瀬】


「はい。2人共緊張していると思うので大丈夫だよって。師範と伊之助はとても頼りになるからとも伝えておきました」


………“天然な所がある”

もちろん、この部分のみ杏寿郎には秘密である。


そうか……と七瀬の頭にポン、と掌をのせた後は「上書きをする」と伝え、恋人をその胸の中にそっと抱き寄せた。


「ふふ、さっきの善逸ですか?」

「ああ、そうだ。我妻少年にやましい気持ちがないのはもちろん理解しているが………すまん、君の事になると本当に不甲斐なくなってしまう」

「丁度杏寿郎さんにこうして欲しいなあって思ってたから、私は願ったり叶ったりですけど」


七瀬は杏寿郎の背中を柔らかく撫でていく。



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