第59章 2人の炎をあたためて ✳︎✳︎
親指で恋人の唇をそっと開け、それから舌をするりと侵入させる。
ツ、ツ……と歯列をなぞると、七瀬の体が少し震えた。自分の行為で相手が反応をしてくれる。
本当に嬉しい物だ。
細く長い首に腕を回すと互いの密着度が増し、俺の鼓動の波打つ速さがもう1段階上がる。
そして自分の唇と彼女の唇の隙間からこぼれ落ちるのは ——— 2人を繋いでくれる温もりの架け橋だ。
「杏寿郎さん………来て……下さい」
一度唇を離すと、七瀬がそんな事を言ってくる。
………!
一際強く大きく、心が、そして脳が反応した。
“七瀬………大好きだ”
彼女の唇に口付けを贈り、音を一回響かせ、先程と同じ様に舌を使って、恋人の歯列の上下をゆっくりゆっくりと辿る。
「口付け1つで俺をこんなに満たしてくれる。君が愛しくて堪らない」
「ありがとうございます……」
目の前で愛らしく、可愛い笑顔がこぼれ落ちた。
そこからはひたすら口付けで思いを交わし合う。角度を変えて何度も何度も。
ちぅ……と吸い上げ、顔を離せばとろんと目を揺らしている恋人がそこにいる。
ここはどうなっている………?
左腰に当てていた右手を下に動かし、蜜の入口にゆっくりと触れてみると ———
「んぅ……」
たくさんの愛液で自分を受け入れる準備が出来ていた。
「解さずとも良さそうだな。では……」
「あっ……んん」
とてつもなく硬く。
真っ直ぐに立ち上がる男根を、彼女の密壺に数回すりつけ、左耳に囁きを落とす。
「七瀬の愛らしい声を、たくさん聴かせてくれ」
「やっ……ん……あっ」
とろとろになったそこは予想通り、自分をすんなりと受け入れてくれた。
膣壁に両側からグッと締め付けられ、キツいのだがとても心地がいい。
全てが入った事が確認すると、俺は一度彼女の中をグッ………と突いた。