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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第58章 緋色の合図、茜色のサイン、2人のeyes


「美味い、その一言だな!」

「あはは!杏寿郎さんらしい感想ですね。ありがとうございます!」

美味い!………その後もこの3文字を連発しながら、彼は抹茶のカステラ巻きを完食したのである。お店が用意した量を食べ切った後、私が食べていたはちみつのカステラ巻きもこれまたお店が用意した量を全て食べ切ってしまい、大将と女将さんに笑われてしまった。

もうこのお店には来れないかなあ。しかし、そんな心配は杞憂に終わる。


“是非また来店して下さいね!”
お2人のこの言葉と一緒にキラキラと輝く笑顔までついて来たのだから。



「ご馳走様でした。はちみつのカステラも抹茶のカステラも頬が落ちそうな美味しさでしたよ。今度は他の味も食べてみたいです」

お品書きには今日食べた抹茶味、はちみつ味の他にみかん味のカステラ巻きがあり、その他はプリンとどら焼き。
それから最近南蛮より入って来たと言うピラミッドケーキ(=バウムクーヘン)なる甘味も気になる所だ。

「確かにどれも美味かった!次回は父上と千寿郎にも声をかけねばな!」

「そうですね。みんなで一緒に行きましょう」














「えっと今夜の任務は……」

煉獄邸に帰宅し、着物から隊服に着替えた私は文机にある任務の伝達書面を改めて確認する。
今回は伊之助と2人での合同任務で、高円寺村に向かう。

姿を隠すのが非常に上手い鬼のようで、何人もの隊士が奇襲や返り討ちに合っているようだ。空間識覚で敵の情報を掴む事に長けている彼と、無一郎くんとの勝負で目を閉じた戦法が広まった私とでその鬼を滅殺せよとの指令だ。


時刻は午後4時。これから夕飯の準備もある。最後に任務用の足袋を履いた私は瞼の上の3色を拭き落として、台所に向かった。











「くそぅ……なんて奴らだ……」
頸と胴体を伊之助によって切り離された男の鬼は、最後にそう言葉を吐き捨て、空気と一緒になって姿を消した。


ふう、と息を吐いた私は刀に付着した鬼の血液を一度振り払って鞘に納刀。


「やっぱり伊之助の空間識覚は流石だね」

「まあな!俺は山の王だからな!ふははは!所で七瀬。お前、なんで爪が赤いんだ?」

「えっ?また?何で名前ちゃんと呼べるの……」

「おい、お前、聞かれた事に答えろ!」


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