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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第58章 緋色の合図、茜色のサイン、2人のeyes


なるほど、そう言う事か……。

「善逸は杏寿郎さんが私の甲昇格を凄く喜んでくれているよって教えてくれたんです。だからやましい事なんて何もありません」


私は恋人の両頬を包み、もう一度口付けを贈る。今度は頬ではなく、唇に。2回程啄んで顔を離すと、杏寿郎さんの眉毛が垂れ下がっていた。


「それに彼、禰󠄀豆子が世界で…いえ、この世で1番好きですからね!あの情熱を見ると、自分も好きな人には恥ずかしがらずに思いを伝えないと……そう思います」

栞さんに沙希。再度言うが2人は私の恋愛面において大きな影響をくれる存在だ。
しかし、もう1人いた。それもかなりの重要人物……。



「………すまん」
「いいえ、いつも気にかけてもらって嬉しいです」

ぎゅっと抱きついて広い背中に腕を回すと、私の背中にも彼の腕が回る。こういう所が本当にかわいいのだ、この人は。

「嫉妬してもらうのも恋人の特権ですからね。やりすぎはどうかと思いますけど、杏寿郎さんの独占欲は丁度良い塩梅ですよ」

「であれば良いのだが」

「……………」
「……………」

沈黙の中、左耳に聞こえるのは彼の心臓の音。私の心に訪れるのは穏やかな安心感。

「七瀬」
「はい、どうしました?」

頭上から自分を呼ぶ声にドキッと鼓動が弾む。彼の胸から顔を離して見上げると、そこには柔らかい表情の杏寿郎さん。

「来週にでも、君と共に行きたい所がある。いいか?」

やった!2人で出かけれる!嬉しい!

「是非!じゃあせっかくだからこれ、瞼に乗せてみます」

左掌に乗った容器に改めて視線を一度やり、また彼の方を見ると両の瞼に口付けが落ちた。


「楽しみにしている」















「ねえ、沙希。おかしくないかな?どう?」

杏寿郎さんから目張り用の紅を貰った3日後の事。私は沙希が住む隊士専用宿舎にやって来ていた。

「七瀬さん、すっごく可愛いですよ!色はこの組み合わせが1番だと思います」

「沙希が言うなら確かだね。じゃあ来週これで行く」


まずくすんだ桃色と茶色を混ぜ、目頭と目尻を半円状に囲んだ部分に広く、そして下瞼のキワに塗る。
黄色は目頭のみにほんの気持ち程度に少しだけ。目尻側だと膨張しがちだけど、目頭だけなら失敗なし。そう言う事らしい。




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