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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第58章 緋色の合図、茜色のサイン、2人のeyes


「うおっ、紋逸!待ちやがれ!猪突猛進!!」


私の前から猪頭が左横にスッと移動し、腰を落とした次の瞬間———
ドン!!と地を蹴った伊之助が善逸と同じように遥か前方に消えた。


「伊之助は相変わらず負けず嫌いだな」

「本当にね……所で炭治郎。恋の力って凄くない?いつもビクビクの善逸が禰󠄀豆子の事となると、途端にキリッとするもの」


この力のお陰か、彼は最近眠らなくても鬼を討伐出来るようになって来た。
正に革命である。異国の言葉で確かレボ?何とかだ。善逸史上最高の出来事と言っても良いだろう。

それ故に”眠りの善逸”は鳴りを潜めてしまった為、最近私が勝手につけた通り名は”雷光の善逸”。

「眠りの善逸、ここにあり」から「雷光の善逸、ここより参る」とでも評しようか。


「うん、それは俺もわかる。禰󠄀豆子と仲良くなるのは嬉しいんだけど、兄としてはちょっとなあ……」

「お兄ちゃんって大変だよね、色々と」

「ありがとな、でも長男はそう言う物だから大丈夫だ」

後ろにいる私の顔をチラッと振り返った炭治郎は歯を見せてニコッと笑った。

………責任感、努力、頼り甲斐。これは杏寿郎さんにも共通して言える事だけど、実際長兄は色々大変なんだろうな。確か不死川さんと宇髄さんも1番上だったよね。

私の兄も炭治郎と同じように穏やかでよく笑う人だったけど、第一子にしかわからない葛藤があったのかもしれない。



「今日は1番を逃したが、俺は山の王に変わりはないぜー!わっはははー!」

「お前さあ!いきなり追いついて背中に突進してくんのやめろよ!俺、前につんのめって転んだんだぞ!もーーー余計な怪我したー!痛い痛い痛いー!!」

煉獄邸の門扉をくぐると聞こえて来たのは、善逸と伊之助のやりとりだ。


「皆さん、お帰りなさい!鰻重届いてますよ」

「あっ、千寿郎くーーん!ただいま!見て!この両膝!こいつがさあ、後ろから飛びついて来てさあ……」

「ああん?紋逸!俺が走ってた先にたまたまお前がいただけだろーが!!おい、ギョロギョロ目ん玉の弟!さっさと鰻出せ!」

「はははっ!相変わらず我妻少年と猪頭少年は仲が良いな!」


煉獄兄弟がニコニコしながら、私達を迎えてくれた。

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