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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第58章 緋色の合図、茜色のサイン、2人のeyes


「じゃあまたね」 「はい、お疲れさまでした」

沙希と挨拶を交わして、私は煉獄邸に帰宅した。湯浴みを済ませると、爪紅はあっと言う間に落ちてしまい、今は元通りの足の爪だ。

今度杏寿郎さんに見せてみようかなあ。
今日の討伐報告書を書いた私はそれを折りたたみ、鎹鴉の小町を呼んで前脚に括り付けた。


「お館様にお願い」

「了解!任務ノ後ハシッカリ休ム。コレ凄ク大事ダヨ」

ありがとう、と小町にお礼を言いながら彼女の嘴をひと撫ですると、それから黒い羽をバサっとはためかせ夜の空に飛んで行った。

ふわあ……とあくびが口から出た。布団に入ろうと縁側から自分の部屋に向かいながら、恋人の事を考える。
杏寿郎さんは昨日から県外任務に行ってしまった為、明後日にならないと戻って来ない。

場所は山梨県の甲府市。
大宮村と言う場所にある加牟那塚古墳(かんなづかこふん)周辺の調査兼鬼の討伐だ。


「無事に帰ってきますように……」
彼の帰宅を待ち侘びながら、布団に入った私はゆっくりと両方の瞼を閉じた。
























「これが終われば、鰻が待ってるし、禰󠄀豆子ちゃんも待ってる!頑張れ、俺!」

「鰻食べるの、久しぶりだ!善逸良かったな」

「はん!天ぷらには敵わねぇが、紋逸の好物はうっまいよな」

前方から善逸、炭治郎、伊之助と続き、最後に私。縦一列になって煉獄邸までの道を走っている。


今日は週に一度の合同稽古だ。何故に話題が鰻なのかと言うと、それは善逸の大好物だからである。


「煉獄さん本人もそうだけど、お父さんも気前良いよねー。俺らの誕生日、いつも好物で祝ってくれるし。だから9月が待ち遠しくてたまらなかったんだよ」

「煉獄家の方針だからね。家族や家によく出入りする隊士の誕生月は、該当者の好物をみんなで食べる」

だから4月生まれの私はカステラを、同じく4月生まれの伊之助は天ぷらを。
5月生まれの杏寿郎さんはさつまいも。7月生まれの炭治郎はタラの芽を天ぷらにして、食べた。


「あ!禰󠄀豆子ちゃんが俺を呼ぶ声が聞こえた!!早く行ってあげなきゃ!待っててねーー!ねっずこちゃーーーん!」


バチバチ……ドーン…!!

青い稲光が善逸の周囲に現れた……かと思うと、次の瞬間には雷鳴が一回轟き、一瞬で彼の姿が遥か前方に消えた。

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