• テキストサイズ

炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第58章 緋色の合図、茜色のサイン、2人のeyes


「茜色も手に入ったんですね」
「うん、だからまず足に塗ってみたの」

無事に鬼の討伐が終わった帰り道。私は沙希に早速報告をする。

「七瀬さんが炎柱様に爪紅を塗ってもらったって聞いたから、私もあれから唯織(いおり)くんに頼んだんです。塗って欲しいって」

「どうだったの?白石くんは」

「真っ赤な顔をしながら塗ってくれましたよ。決して上手とは言えなかったんですけど……でも私に一生懸命向き合ってくれた彼の事がもっと好きになりました!」


満面の笑みを浮かべて私にそう言った沙希が、本当に可愛かった。
彼女はとてもしっかりしているから、恋愛でもそう言う部分が出ちゃうのかなと思っていたけど、恋人の前ではそんな事は全くないらしい。


『大好きな人に甘えないで、いつ甘えるんですか?常に頑張ってばかりだと疲れちゃいますもん。自分を出せる相手がいるって本当に貴重ですよ』


これが後輩・沙希の言い分である。初めて聞いた時、確かに…と唸ってしまった。
私が杏寿郎さんの前でありのままの自分を出せるのは、栞さんや沙希の影響が本当に強いと思う。


栞さんは異性でも同性でも変わりなく、自分を飾らず出せる人だし、沙希は普段あまり弱音を吐かない分、恋人の前では取り繕ってない自分をきちんと出す。

自分が自分でいれる場所とでも言おうか。


「良かったね、また仲が深まった感じ?」
「ええ、お陰様で。所で……」

「何?どうしたの、沙希」

“いえ……”そう前置きして、彼女は言葉を続ける。

「七瀬さん、その足先はどうするんです?見てもらったりとかは考えてないんですか?」
「え?杏寿郎さんに?」

「もちろんです。せっかく綺麗にされたんですから」

うーん……。全然考えてなかった。ただただ、とりあえず塗ってみようの一心だったからなあ。


「足先って心の距離が近くないと、なかなか側に行けない場所だと思うんですよね。手と違っていつでも見れるわけじゃないし」

「確かに。恋人でも深い仲じゃないと見せづらい所かも……」

/ 1010ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp