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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第57章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎


将門塚がある場所を真ん中として、そこから東西南北の方向に進む道がこの石室には存在している。将門塚の奥側 — 北の柱に続く通り道を歩き、5分もしない内に柱が建っている場所に辿り着いた。


下部分の3分の1は黒色、残りの上部分の3分の2はくすんだ灰色。黒と灰色の境目はハッキリとしており、上下に分かれている。

「型を放つと、柱が全て黒に染まるのでしょうか?」
「……恐らくな」

杏寿郎さんに少し下がっておくように言われた私と炭治郎。冨岡さんは既に彼から距離を取っており、また私は流石だなあ……と感心をする。
再び日輪刀を抜刀した炎柱は瞬く間に呼吸を炎に変え、壱ノ型を放った。

「炎の呼吸・壱ノ型 —— 不知火」


緋色の炎刀から放たれた紅蓮は、柱にスウッと吸い込まれると溶け合うように一瞬だけ柱が赤く染まる。

「凄いですね………」

赤い炎が収まった…かと思うと、みるみる内に黒一色に染まっていく柱だ。

「本当に不思議なものだな。しかしこれで北の柱は再建の完了だ」

炎刀を一振りした杏寿郎さんは、ほう…と少し感心した様子を見せて刀をチン、と元の鞘に納めた。

「次は南方、七瀬の番だな」









「うわあ、この柱はもう殆どが灰色に染まっていますね」

元来た道を戻り、再び将門塚を通過した後は外へと続く道を進む。そして入り口に向かうまでにもう1つ、右斜めの方向に一本道があり、私達はそこを歩いて来た所だ。

着いた途端、出た言葉が先程の私の感想である。
南の柱は地面から50センチ程ぐらいだろうか。僅かな赤を残して大部分が灰色に姿を変えていた。


「七瀬、前へ」
はい……と返事をした私は、杏寿郎さんに柱の近くに向かうよう促され、3メートル程手前の場所まで歩いて移動する。

“自分の1番得意な型だよね、放つのは”
ふう、と1つ深呼吸をして日輪刀を鞘から静かに抜刀。

「炎の呼吸・弐ノ型 —— 昇り炎天」

ぐるっと茜色の炎刀を下段から上段に円を描くように振り上げると、炎輪(えんりん)が柱にスウッと吸い込まれ、先程と同じようにみるみると色を変化させていった。

「本当にこれはどんな仕組みなんだ?」
日輪刀を鞘に納めた所で、炭治郎が赤く染まった柱に近づき、まじまじと見つめ出す。そんな彼にまた癒されてしまう。

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