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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第57章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎


同時刻 — 石室の外では、天元が甲(きのえ)の男性隊士3人と共に見張りをしている。
使用呼吸は全員水の呼吸だ。石室の北側、東側、西側に隊士3人が、南側の位置には天元が立っていた。


“4本中、2本の柱の再建(さいこん)が済んだみてえだな。このまま無事に終わると良いんだが…”


聴覚が研ぎ澄まされている音柱は、僅かな音の響きも鼓膜で隙間なく捉える事が出来る。

“この呼吸の音は炎の呼吸 — 煉獄と沢渡か。残りは冨岡と竈門が担当する柱……”

顎に手を当て、思案をする彼の頭上には雲1つない空。そこには綺麗な形の半月がぽっかりと浮かんでいた。



「申し訳ありません。音柱、報告があります」
「おぅ、どうした?」

西側に立っていた隊士が小走りで天元の元へとやって来る。


どうやら付近の住民が石室周りの松明に炎が照らされているのを見て「何かの祭りなのか?」と勘違いしたようだ。人数は5人と少ないが、集まっていると言う。

普段の将門塚は”首塚”と呼ばれている事もあり、暗くひっそりと静かな場所だ。しかし、今日は明るい。当然興味を抱いて来てしまうのは仕方がない。


“非公認の組織ってのはこう言う所が融通効かねえ。警察に知られたら厄介だ。よし、話つけに行くか”


「お手間かけて本当に申し訳ありません。自分はあまり喋りが得意ではないんです。それでも頑張っていたのですが、押し切られてしまいそうだったので……」

「気にすんな、適材適所って言葉があるだろ?派手に任せとけ!」

天元は眉を八の字に下げた男性隊士の肩に、ポン…と右掌を乗せる。するとぱあっと表情を明るくする隊士。
お願いします、と頭を下げた彼と共に5人がいる場所へと向かう。


「お集まりの所、申し訳ねえ。今日はなー……」

集まっていた若い女子5人は町で行われた夏祭りの帰りだったらしく、全員が浴衣を身に纏っていた。
5人は天元の姿を見るなり気持ちが浮き足立ち、彼が話を始めると瞬く間に静かになる。


“流石は音柱”

男性隊士はこの日1番の尊敬心を天元に抱いたのであった——




「って事で、今夜見た事は秘密にしてくれ!」
「はいっ♡」

宇髄天元 — 美形で名を馳せている音柱は、5人の女子の心をこの日見た記憶と共に鮮やかに奪ったのである。




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