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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第57章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎


6日前—煉獄邸の庭にて。

私は槇寿郎さんに思い付いた動きを全て見て貰った。
やり終えると木刀を一振りし、そこに纏っていた炎を消す。

「今、見て頂いた通りです。壱から玖ノ型までの9つ。それから私が編み出した改の3つを合わせると丁度12個になります。これが12の炎…なのではないかと思うのですけど」

12個の松明。始まりは12の炎。これは恐らく炎の呼吸の9つに3つの改を加えた型を順番に放つ事なのではないか。私はそう推測をした。

「こういう儀式のような催しに自分が役目を任される……それは一般隊士の私にはそぐわないと思います。だから柱である杏寿郎さんが担当されるのかなあって」

「七瀬さん、正直俺は驚いたぞ、陸ノ型の時もだったが、今回はそれ以上だ!」


「ありがとうございます、でもまさか自分の編み出した改が鬼殺隊の大切な行事に使われる事になるなんて思いもしませんでした」

「何が起こるかなんて誰にもわからない。よく言われる事だが、本当にその通りだ」








そして5日前 ——
お館様、あまね様からの手紙をそれぞれ読んだ後の事。

「今、杏寿郎さんに壱から玖ノ型まで繋げてやって頂きましたけど。先程のお手紙に書いてあった通り、私が編み出した3つの改を加えると丁度12個になります」

「始まりは12の炎…12個ある松明に柱である俺が炎を灯す……と。そう言う事か!」

「はい、そうです。どう考えてもこの役目は杏寿郎さんしか出来ないなあと思って……一般隊士の自分がやると言うのは分不相応ですもん」


右手に持っていた木刀をスッと構えた私はこの型を放つ。
「陸ノ型 —— 心炎突輪」
持っていた木刀から鮮やかな刺突が一つ放たれるが、空気と混ざってすぐに消失した。

「杏寿郎さん、右手見せて頂いて良いですか?」
「ん?どうした」

彼が言われた通り、私に掌を見せてくれる。今は日中だから、そこには緋色の蠍座が横たわっていた。

「上から数えて5つめのここ。アンタレスと言って、蠍座の心臓に当たる部分なんです」

「アン…?」 「タレス、です」

私は該当の点を右手人差し指でとんとん、と指差す。

「ここをひと突きすれば、きっと血鬼術が解けるんじゃないかと思うのですが……それが何に例えられるのかがまだわかりません」

すみません…そう言って彼に頭を下げた。

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