第10章 師範と継子 +
「この3ヶ月、誰よりも君を近くで見てきたのは俺だぞ?予想以上の成長具合で、本当に良い継子を持てたと心底思っている」
「……だから」と師範は更に続ける。
「もっと自分を信じてみてはどうだ?過信はもっての他だが、ある程度の自信を持つ。これは剣術だけではなく、何にでも必要だからな!」
「ありがとうございます……」
少し顔、赤くなってるのバレてるかな。でも師範にそんな風に言ってもらえると本当に嬉しいし、やる気も出てくる。
「私も師範みたいになりたいです!」そう伝えると、彼は「懐かしいな」と一言漏らす。
「懐かしい、ですか?」
「ああ」
それから自身の最終選別の時の事や鬼殺隊に入ってまもない時の事を私に話してくれた。
選別で共に生き残った同じ歳の少年に言われた事、死にゆく仲間達から受け取った指文字、初めての任務に行く前、千寿郎くんに言われた事。
それらを経て『君たちのような立派な人にいつかきっと俺もなりたい』
そう思ったんだそう。
「………なってますよ。充分すぎるくらいに」
「そうか?」
「はい!」と私は目から涙を少しこぼしつつ、はっきり頷いて返事をした。