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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第56章 山吹のち、姦し(かしまし)ムスメ




「七瀬さん、間宮に何を言われても返事は否定のみにしておけ。悪い奴ではないが、やや難がある男だ。肯定だけはしないように。俺は忠告したぞ」

その元・霧柱のお屋敷に以前訪問した事が一度ある。
栞さんと沙希が久しぶりに顔を見せに行く—私もどうかと誘われたからだ。

普段仲良くしている2人の育手……以前から興味があったので、私は快諾した。

冒頭の言葉は槇寿郎さんに間宮さんの所に行く、と告げた時の返答だ。どうやら槇寿郎さんと間宮さんは共に柱として、同じ時期に第一線で活躍していた間柄らしい。


難がある……何なのだろう。私が元・霧柱について知っていた事は「冨岡さんに負けないぐらいの美男子」


その情報のみ。

栞さんはこう言った。
「んー。とにかく育手としての腕は確かだよ。悪い人じゃない」

沙希はこう言った。
「間宮さんですか?……やや難ありな所もあるんですけど、話しやすい方ですよ。悪い人じゃないです」

槇寿郎さん・栞さん・沙希。元・霧柱をよく知る3人に共通する人物評。これにほんの少しだけ疑問を抱きながら、私は2人と一緒に間宮さんの所に向かった。











「よう、お前が七瀬か。煉獄の息子の継子をしてんだってな?男だらけのむさ苦しい所で鍛錬してないで、俺の所に来いよ。うちは子供も女ばかりだし、今修行してる奴らも女ばかりだ。悪くない環境だぜ」


私の姿を見るなり、間宮さんは開口一番こう言う。




——— 彼は無類の女好きで名を馳せている育手だった。

名前を名乗り、挨拶をした私は続けてこう伝える。


「あ、いえ。私は炎柱の継子ですので、ご希望には添えません」

槇寿郎さんからの忠告をきちんと守り、まず否定をしっかりとした。いきなり呼び捨てにされてビクッとしたけど、これだけははっきりと言う事が出来た。

「つまんねぇなあ。まあ良い、よく来たな。歓迎する」
私の返答に機嫌が悪くなる事もなく。むしろ綺麗な顔を破顔させ、快く招き入れてくれる。

元・霧柱…確かに難ありな人物だったけど、3人が言うように悪い人ではなかった……と言う話だ。



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