第10章 師範と継子 +
残暑がまだまだ厳しい九月——
師範の継子になって、三ヶ月が過ぎた。
すぐに根をあげるだろうと他の隊士達に思われていたらしいけど、このあたりから私を見る目が少し変わって来たように思う。
特に女性隊士はわかりやすかった。
師範は男女問わず、慕われている人だからなかなかやっかみが凄かったんだよね。正直な話。
相変わらず腕相撲は全く勝てないけど、筋力が日々の稽古で少しついて来たのか、刀や木刀を振る動作が前と比べてとてもやりやすくなった。
“刀は硬く握っていると敵に素早く反応する事が出来ない。普段は余計な力を入れずに持って、斬りこむ瞬間にグッと力を入れろ”
師範や鱗滝さんがこう言っていた意味もストンと腑に落ちるようになって来た。
呼吸の型については見取り稽古で一通り掴んではいたけど、やはり筋力が物を言う呼吸。
自分が放つ炎の勢いに負けてしまう事も多々あったけど、それにも耐えれるようになった。