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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第56章 山吹のち、姦し(かしまし)ムスメ


「あっ……」
「どうした?」

そうだ、どうして気づかなかったんだろう。

「緋色は緋色(あけいろ)とも読みますよね。杏寿郎さんの瞳と刀身は緋色。あなたを象徴する色です。明け星は緋星(あけぼし)とも言えるじゃないでしょうか」

「うむ、確かに緋色は”あけ色”とも読むと聞いた事がある」

「だから明け星……明けの明星も杏寿郎さんに例えられませんか?少し言葉遊びみたいですけど」

「解釈は人それぞれだ。良いのではないか?俺は君の見解がとても好きだ」

「ありがとうございます」

私の両頬が包み込まれ、そっと上を向かされる。目の前には愛しい人の顔。


「もう夜が明ける。また新しい1日の始まりだ」

「はい、今日も稽古しないといけませんね。自主稽古で気づいた事、ありましたよ。またお話させて下さ……」

言葉の途中で、唇にほっとする温もりが届いた。


「……明け星が出ている間は、恋人の君と触れ合う時間を大事にしたい。良いか?」
「……もちろんです」


彼の首に両腕を回すと、頬に置かれていた杏寿郎さんの両腕が私の腰に移動して、胸の中に引き寄せられる。

そうして朝の太陽が出て来るまで、私達は口付けで互いの気持ちをいつものように確認しあった。






————朝稽古の後。

「お疲れさまでした。杏寿郎さん、そう言えば夏の流星群がそろそろ極大になります。今回は槇寿郎さんと千寿郎くんにもお声がけしませんか?」

「お疲れさま、皆で流星群の観測か!楽しそうだな」

「はい!」

いつもの毎日の中で交わす、細やかな約束。
夏の流星群の極大まで後2週間 ———






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