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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第54章 霞明ける、八雲起きる


右耳に響いた低音がゆっくりと離れていく。

「また3日後にな……君の元に必ず戻る」
「はい」
ポン、と頭に一回掌が乗った後は2人で客間に向かった——





「無一郎くん、ちょっと良いかな…」
客間に杏寿郎さんと戻って、まずは彼の所に向かう。
「何?」
ふろふき大根を食べる手を止めて、私の方を向いてくれた。

「今日は勝負してくれてありがとう」
「何で君がお礼を言うの?お願いしたの、僕なのに」
無一郎くんが不思議そうに問いかけて来る。

「うん、そうなんだけどね。学べた事たくさんあるから……」
「学べた……」

「うん………」
「あのさ」

何?……そう問いかけた私に彼は———

「七瀬との勝負、凄く楽しかった」
「そう?光栄です。霞柱様にそう言って貰えるの……」


「だから、様はいらない。やめてよ」
「わかってる、言ってみただけ」

「なんかさ、君と話すと調子狂うんだけど」

それは私も同じなんだけどね…。そんな彼に本題を切り出す。


「……今度さ、また勝負してくれない?」
「いいよ。でも手加減なしだからね。君、倒しがいが凄くあるから」

「あはは……手厳しいね。でもありがとう、じゃあ私戻るね」
「うん……」





「ただいま戻りました。また勝負しようって伝えたら手加減しないよ…ですって」

さつまいもの甘露煮を食べている彼の隣に腰掛け、私も頂きます…と一言断りを入れて取り皿に取る。

「んー美味しい!今日は千寿郎くんが作ったんですよ。私じゃまだこの味が出せなくて……って聞いてます?杏寿郎さん」

右横を見れば、いつかと同じように珍しく口数が少ない彼だ。


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