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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第54章 霞明ける、八雲起きる


悔しい気持ち……それは正に自分が感じている思いだ。

「私はそれが1番前に進む原動力になる……そう思います。悔しいから次回はもっと上手くなろう、努力しよう、強くなろうと考えるのではないでしょうか」

「そう言えば冨岡さんが以前同じような事を言ってました。”怒りは手足を動かす原動力になる”って。”悔しい”と怒り”この2つの感情って根底が同じなのかもしれません」

「そうですか、水柱様が……」

「はい」

初めて冨岡さんに出会った時を思い出す。兄が鬼になり、母と妹を殺された。そして鱗滝さんの所に連れて行かれたな…。


「私は柱の方と手合わせをして悔しいと思える事がとても貴重なのではないかと思います。一般的な考えですけど、継子が柱に勝負を挑む。大半は負けるのが当たり前……そう思う人が多いと思うんです」

「そうですね。殆どの隊士がそう考えるでしょうね」
実際、私は霞柱に負けてしまった。2戦目は引き分けだったけど、負けは負けだ。

「柱だから負けても仕方ない。そう考える人も多いかもしれませんね。でも沢渡さんはそうじゃないでしょう?」

「……はい、勝ちたかったです。凄く凄く勝ちたかったです……」

一旦引っ込んだ涙がまた溢れて来てしまう。柱の皆さんに頼み込んでまで、1人鍛錬をした。
”無一郎くんに負けたくない、勝ちたい” ただそれだけだった。

「その気持ち、今しっかりと感じておきましょう。とても大事ですよ」
「はい………」

それから彼が持って来てくれたカステラを泣きながら食べた。甘いカステラなのに、自分の涙と混じって不思議な味だった。
私はこの味をこの先もずっと覚えているだろう。

色々な気持ちを噛み締めながら、最後まで食べ切った。



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