• テキストサイズ

炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第54章 霞明ける、八雲起きる



「参ノ型・霞散の飛沫(かさんのしぶき)」

無一郎くんが放ったのは大きな円を描く回転斬りだった。

「んっ……!」

上から下に振り下ろした炎の斬撃ごと、自分の体も弾かれる——
私は後ろ向きにくるっと回転し、その途中で木刀を構え直すとこの型を放った。


「伍ノ型・改 —— 炎虎・番(えんこ・つがい)!」

大きな虎の斬撃が彼に向かっていく。そして途中で1匹だった炎虎は2つの頭を持つ双頭の炎虎に姿を変え、霞柱を挟み撃ちするように大きな口を開けて飲み込まんとする……が。

「伍ノ型・霞雲の海(かうんのうみ)」

無一郎くんがまた大量の霞で周囲を覆う。そして霞の中心から速く細かな太刀を入れて来る。
耳に神経を集中。

視界が凄まじく悪い。けれど耳で音を嗅ぎ分け、私は彼の太刀を受け流していった。


「漆ノ型 —— 紅蓮業火(ぐれんごうか)!」


炎を纏った木刀を反時計回りに振り、炎輪(えんりん)が現れた所で、そのまま一突き。
この斬撃で霞が晴れて行くと、彼の姿が少しずつ、はっきりと捉えられるようになって来た。


よし……次はこれ……!


「肆ノ型 —— 盛炎のうねり」

漆ノ型を後方から後押しするように炎の渦を出すと、この連撃で完全に霞が晴れる。すかさず、打ち込む。

カン、カン、カン、カン———

攻めては払われ、攻めては払われる。本当に寸分の狂いもない剣捌きだ。
そのまま打ち込みを続けていた所で、槇寿郎さんの声が響く。




「10分経ったぞ!2本目は引き分けだ!」

次の瞬間、庭中がワッと声援に包まれた。




/ 1010ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp