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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第54章 霞明ける、八雲起きる





「伍ノ型・霞雲の海(かうんのうみ)」


『何、これ…無一郎くんの姿が見えない……』

5つの刺突は真っ直ぐと彼の姿を捉えて向かっていったはずだ。
なのに今—
刺突が向かった周囲は大量の霞で覆われ、霞柱の姿も見えない。


——すると霞の中心から高速で繰り出される、細かく鋭い連撃がやって来た。呼吸を炎から水に素早く変える。


「水の呼吸・参ノ型 —— 流流舞い!」

滑らか且つ速く流れる水のように。素早い足捌きを駆使して、その攻めを翻す……が。


「肆ノ型」

「え……」

「移流斬り(いりゅうぎり)」

無一郎くんから逃れた。
そう思っていたのに、彼はいつ間にか私の足元に滑るように潜り込んでおり、速く鋭い太刀を向かって右斜めの方向に振り上げる。


カン————


「時透、一本!」
ここで槇寿郎さんの声がかかる。私が今まで持っていた木刀は両手から弾かれ、頭上を超え、後方に転がっていた。






「七瀬、大丈夫か?」
「あ……はい、大丈夫です」

少しぼうっとしていたらしい。杏寿郎さんから声をかけられるまで、意識がどこか遠くに飛んでいたようだ。

彼から竹筒を受け取り、ゴク…ゴク…と喉を潤す。次に手拭いで顔の汗を拭く。5分と少ししか動いてないのに、顔と背中にはじわっ…としたたり落ちる汗が浮かんでいた——



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