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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第52章 柱稽古に八雲挑む、の巻


「あの、今日の任務後なんですが」
「どうした?」
「はい…」

………こう言うお願いをするのはいつまで経っても恥ずかしいけど。

「お部屋に行っても良いですか?いえ、あの…何をすると言うわけではなく、杏寿郎さんと一緒に……」

“隣合って寝たい”
これは言葉に直接出せなかったので、代わりにすぐ近くにある彼の左掌の上からそっと自分の右掌を重ねた。

顔を下に向ければ、今度は心拍数が段々と上昇する。
左手を胸に当てて落ち着け、落ち着け……そう心の中で言い聞かせていると、スッと顎を掴まれ、唇に暖かい感触が一度降って来た。


「どうした?何か気になる事があるのか?」
「これが今朝届きました…」

「時透からの手紙か。読んでも大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です」

どれ……と杏寿郎さんは四つ折りに畳んである霞柱からの手紙に目を通していく。

そこにはこう書いてあった。

【七瀬へ

元気にしてる?いよいよ明日だね。前も言ったけど、手加減なんてしないよ。全力で君を倒しに行くから、覚悟しててね。楽しみにしています。

時透無一郎】




「読んだ後、情けない事に震え上がってしまいました」
「なるほど」

手紙を私に返すと、大きな掌で左頬をゆっくりと撫でてくれる彼。

「だから杏寿郎さん……無一郎くんに挑む勇気を私に下さい」
「承知した」

了承の返答をした後、恋人のおでこが私のおでこにコツン、と当たった。


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