第52章 柱稽古に八雲挑む、の巻
炎柱との柱稽古……
——— と言っても、杏寿郎さんは自分の師範なので普段の鍛錬と内容はそんなに大きく変わらない。
「いよいよ明日だな。何か他に確認しておきたい事はあるか?」
「ありがとうございます。では座学をお願いしたいです。柱の皆さんと鍛錬して気付いた事があるので、それも含めてお話出来たらと。はい、終わりましたよ」
……いつもの指圧をしていた彼の左手から手を離すと、お礼を言われる。そして頭をよしよしと撫でてくれた杏寿郎さんは、使っていた木刀を片付けに行ってくれた。
私の部屋にやって来た。文机に置いてある記録帳を開き、筆で書き込みながら杏寿郎さんに話しかける。
「柱の皆さんを性質毎に分けてみました。”技術”が冨岡さん、不死川さん、伊黒さん、しのぶさん…」
「ふむ」
「”力”が悲鳴嶼さん、宇髄さん、蜜璃さん、杏寿郎さん」
「ほう、俺はこちらか」
「はい、更に……」
ん?と和綴じの記録帳を私の右側から覗き込んでくる彼。
「技術と力の釣り合い。この割合が丁度良いのは杏寿郎さんと蜜璃さんと不死川さんかなぁと思いました。3人共に体の使い方も上手ですし、一瞬で型を出す瞬発力が高いかなあって」
なるほど…と頷いた杏寿郎さんはフッと笑う。
「打ち込むのが巧いのは伊黒さんと不死川さん。特に伊黒さんは技術が本当に正確なので、力をそんなに入れてなくても一太刀が重かったです」
「それは俺も同意見だ」
「わかってはいましたが、やはり柱の皆さんは総合的に抜きん出ていますね……本当に凄いです」
書き込みが終わった私は筆を硯(すずり)に置いて、杏寿郎さんの方に体を向けた。