第52章 柱稽古に八雲挑む、の巻
「不死川さん、今日まで毎週の鍛錬ありがとうございました。当日はよろしくお願いします」
「おゥ。天才天才言われちゃいるが、何だかんだで時透はまだ14のガキだァ。勝機はあると思うぜ」
「はい、ありがとうございます。頑張ります……」
不死川さんと栞さん、そして隠の長友さんが門扉まで見送りに来てくれた。
「沢渡さん、私も当日は風柱様と向かいますね!炎柱様にも久々にお会い出来るのが楽しみです」
頭巾の間から出ている長友さんの目元は今日も優しい雰囲気を醸し出している。杏寿郎さんも長友さんに会うのを楽しみにしている旨を伝えると、更に優しい目元になった。
「私も行きたかったんだけど、明日から沙希と2週間の中期任務になっちゃって…。ごめんね、七瀬…」
「いえいえ、任務は大事ですから!お気になさらず…沙希によろしくと伝えて下さい」
うん、とにっこり笑顔を向けてくれる栞さんはやはりとてもかわいい。
「ではまた。失礼します」
3人に頭を下げた私は風柱邸を後にした。
★
「ただいま帰りましたー」
玄関扉を開けて挨拶をすると、お帰りと槇寿郎さんが迎えてくれた。
「あれ?槇寿郎さんだけなんですね」
「ああ、七瀬さん。良ければ俺と鍛錬しないか?」
「え?よろしいんですか?」
「君が疲れてなければ、だが」
大丈夫です!……と快諾した私は杏寿郎さんと千寿郎くんが帰宅するまで、みっちりと槇寿郎さんに指導をして貰ったのだった ——