第52章 柱稽古に八雲挑む、の巻
風柱との柱稽古……
今日は風柱邸の庭にて、不死川さんと鍛錬をしている。
私は以前、彼の呼吸を「多彩」だと 表現した。今日また新たな表現が加わった。
—— それは「疾風( ※1)」だ。
「風の呼吸」
「伍ノ型 ——— 木枯らし颪(こがらしおろし)」
風柱が高く跳躍し、回転するようにこちらに向かって斬り込んで来る。
これは漆ノ型の「勁風・天狗風( けいふう・てんぐかぜ)」や玖ノ型の「韋駄天台風(いだてんたいふう)」の基本となるような型らしく、とても華麗な動きだ。
対し ——
「水の呼吸」
「陸ノ型 ——— ねじれ渦!」
伊黒さんとの鍛錬時と同じように、私は不死川さんが繰り出す回転を巻き込むようにこの型を放つ。
「やっぱりそう来るよなァ?んじゃ、これはどうだァ?」
「壱ノ型 ——— 塵旋風・削ぎ(じんせんぷう・そぎ)」
今度は竜巻が螺旋状に地面を抉りながら突進して来る。
よし、呼吸切り替え!水から炎だ。
「炎の呼吸 捌ノ型 —— 烈火の舞雲!」
竜巻が螺旋状に向かって来るなら、こちらも螺旋状の炎を出して対抗。
螺旋の竜巻と螺旋の炎が激しくぶつかり、お互いの型を相殺し合う。
「まだあっぞォ」
「ん……!」
風と炎が収まった途端に、風柱の太刀が私の木刀に素早く打ち込まれた。
そこからカン、カン、カン……と小気味良く響くお互いの木刀の音。
『型もだけど、不死川さんは打ち込んで来るのが本当に巧い(うまい)…」
冨岡さん、宇髄さん、伊黒さん、そして杏寿郎さん。柱だからみんな打ち込んで来る技術は高いんだけど、不死川さんは特に上手だなあと私は思う。
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※1…… 急に激しく吹きおこる風。