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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第52章 柱稽古に八雲挑む、の巻


「このスイカすげー美味い……」

「良かった。気に入ってもらえて」

スイカ大好きな玄弥が顔を綻ばせながら食べている。好物を食べている時の人の顔は本当に見ていて気持ちが良いし、こちらまで心がほっこりと温かくなる。

「玄弥はやっぱり当日来るの難しいんだよね?」
「そうだな…。にいちゃん、今回は参加するんだろ?」
「うん…。参加するみたい」


“わかってんだろうなァ、簡単に負けんじゃねえぞ”

この瞬間、背中にメラメラと燃やす殺気を背負った風柱の姿が思い浮かび、私は真夏だと言うのに背筋が寒くなり、ブルッと震えた。

そう、悲鳴嶼さんの次は不死川さんとの柱稽古だ。実践形式の稽古を重視して欲しい…とお願いしている。


「おい、お前大丈夫か?」
食べ終えたスイカを自分の取り皿に置いた玄弥が、顔に疑問符をたくさん浮かべて心配そうに聞いて来る。

「ありがと、大丈夫だよ」
私は両手に持っているスイカをシャリシャリっと齧り、取り皿に一度置いた後、麦茶をごくっと一口飲んだ。

「次は不死川の所だそうだな」
「はい、そうです」

「煉獄とはまた違う気づきが多いだろう」
「ええ、それはもう。実践からも座学からもたくさん気づきがありますよ」

……栞さんから度々聞いてはいたけど、実際剣を交えてみて嬉しい驚きばかりを味わっている。






「ごめんな、当日行けなくて。でもこっからめいいっぱい応援してっから」
「ううん、大丈夫。ありがとね!そんな風に言ってもらえて嬉しいよ」


「悲鳴嶼さん、それじゃあまた来週お願いします。今日は本当にありがとうございました」
「気をつけて帰宅しなさい、南無……」

大柄な2人に門扉前で頭を深く下げて、私は山道を慎重に下りながら帰宅した。


無一郎くんとの勝負まで後1週間だ。




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