第49章 爪に緋色、唇に曙 、心に桃色をのせて +
国分寺駅から今度は川越鉄道に乗り換えると、先日隊士に言われたと言う事を彼が問いかけて来た。
今私達は手を繋いでいるのだけど、この行為は【恋人繋ぎ】と言う。
「炎柱はされた事ありますか?」と気楽に隊士が問いかけて来たのだそう。この人は最近恋仲になった女の子が出来たようだ。
「無論だ!」と当たり前のように返答すると、随分と驚かれたらしい。更に「かなり甘いぞ」と伝えると、えええ…と更に目を見開かれたとか。
「そう、でしょうね」
私はふふっと笑いながら彼に答えた。
「? 何故君までそのように思う?」
「だって杏寿郎さんは稽古時、物凄く厳しいでしょう? これは全隊士が知っています。まあ普段はそんな事ないけど、恋愛となるとどうなるか予想出来ないんじゃないですか? 私もお付き合いしてみて、こんなに甘いんだーって驚きましたから」
「ふむ、そんなものか?」
「はい。驚いたけど、とても嬉しいです」
瞬間、絡めていた彼の右手にそっと自分の右手を一瞬載せ、またすぐ離した。あ、ちょっとドキドキしてくれたかな?
だとしたら嬉しいのだけど。
とは言え、行動に反して気持ちが恥ずかしくなったのでサラッと話題を変える。
「着いたらまず神社に向かうとして…杏寿郎さんは他にどこか行きたい所ってありますか?」
「うむ、どうしても立ち寄りたい甘味処がある。そこへも行きたいな!」
「えっ……どんな所ですか?」
彼に質問してみると、どうも立ち寄りたい甘味処があるらしい。