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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第49章 爪に緋色、唇に曙 、心に桃色をのせて +




ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン、

季節は梅雨が明けて夏——7月中旬の朝。
私と杏寿郎さんは今電車に揺られている。

駒澤村から渋谷までタクシーで向かい、渋谷から山手線に乗車。
新宿で甲府鉄道に乗り換え、また次の乗り換え駅の国分寺駅まで向かっている所だ。

「ねえねえ、杏寿郎さん。風鈴ってどんな感じなんでしょうね?」

窓側の座席に座っている私は、通路側に座っている杏寿郎さんに話しかける。

「何でも色とりどりの江戸風鈴が境内の両脇をびっしりと埋めているようだ。風鈴回廊と言うらしい」

「うわあ!絶対綺麗でしょうね!楽しみ……!」

本日の行き先は東京府のお隣、埼玉県の川越氷川神社。

ご祭神はもちろん、須佐之男命。ここは槇寿郎さんが非番の際に瑠火さんとよく行っていた神社だそうで、縁結びの神様としても有名な場所なんだとか。

「間もなく国分寺ー、国分寺ー」
その時、次の駅を知らせる車内放送が響いた。

「あ、乗り換えですね」
「うむ!」
私が立とうとすると、彼が自分の右手をほら…と差し出す。

「ありがとうございます」と言って、彼の右手に自分の左手をのせると途端に指を絡められた。










—————————

1912年(明治45年)タクシーの会社が東京都千代田区有楽町に設立。
1885年(明治18年)山手線開業
1889年(明治22年)甲府鉄道(新宿~八王子)が開通。

駒澤村……現在の東京都世田谷区桜新町


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