第47章 心炎八雲、甘い色香に混ざり合う ✳︎✳︎ +
それから一週間後、俺は見回りから帰宅した。
門扉をくぐり、玄関に向かって歩いていると灯りがともっている。
む? この時間に電気がついていると言う事は……。
先程屋台で食事をした際、懐中時計を確認すると丁度午前零時を回った所だった。
父と弟は就寝中のこの時間。
逸る気持ちを胸に抱きながら、解錠がされている玄関扉を静かに開けた。
「やはり君だったか。ただいま、七瀬」
「お帰りなさい、見回りお疲れさまでした。変わりありませんでしたか?」
「屋台で一緒になった客が酔い潰れていてな。自宅まで送り届けて来たぐらいだ」
「本当に杏寿郎さんは面倒見が良いですね」
扉を開ければ任務帰りの恋人が脱刀し、丁度脱いだ草履を揃えていた所だった。怪我の有無を問えば、問題はないと言う事でホッと安心した。
湯浴みに誘えば、はにかみながら了承する七瀬である。
恋仲になって一年以上になるが、こんな所は相変わらずだ。
★
「あの、杏寿郎さん…ちょっとお話が」
「何だ、どうした?」
湯浴みを共に済ませ、寝巻きに着替えた俺と七瀬は、脱衣所を出て廊下を歩いている。
彼女の顔を見れば、どこか恥ずかしそうだ。瞬きの数は多く、頬もやや赤い。
部屋で話した方が良いなと判断した俺は、自室へと共に向かう。
文机の前に向き合って座ると、ますます彼女の顔が朱に染まっていくではないか。一体何を話そうとしているのか。
俺は七瀬の両手を自分の両手でそっと包んでやる。
するとふう…と静かに長い息をはく彼女だ。
「そんなに緊張する事なのか?」
「……緊張もしますし、何より今とっても恥ずかしい気分です」
緊張、恥ずかしい。
七瀬が自分の前でこんな状態になってしまう事と言えば…。
「よもや、話と言うのは」
「はい、先日の、その……体位、の事で……相談に行って来ました。宇髄さんとお嫁さん達の所へ」
「……何と!!」