第46章 八雲心炎、燃ゆる立つ
炎の龍は螺旋状に舞い上がった後、一気に下降し、杏寿郎を真っ直ぐと捉えて向かって来る。
『なるほど、炎龍とはな。玖ノ型の煉獄に繋がる型か…』
昇り炎天を放ち終わると同時に、また新たな型を打つ。
「肆ノ型 —— 盛炎のうねり」
彼の木刀から大きな大きな渦の壁が繰り出された。
すると少しずつ、炎の龍が吸い込まれて行くように消えていってしまう。
『この一瞬で見極める判断力…。本当に凄いな」
自分の斬撃をまたも止められた七瀬だが、怯む事なく彼に向かう。
カン ——
杏寿郎の木刀に一回自分の木刀を当てると、そこから小気味良い動きで彼に太刀を打ち込んで行った。
「七瀬!」
師範が継子を呼ぶ。
「随分と飛ばしているような気がするが、大丈夫なのか?」
「ご心配ありがとうございます!ちゃんと配分を考えながら動いてますよ……!」
一度、杏寿郎の木刀を払って後ろに下がった七瀬は、呼吸をスウ……と整え、左掌を彼に向けながら走り出す。
「陸ノ型」
右手に持っている木刀の周囲が半分程炎に包まれた後、その上から炎が重なり、二重の炎になる。次の瞬間、七瀬は右足で地を蹴った。
「 —— 心炎突輪!(しんえんとつりん)」
先端から繰り出された炎の斬撃が槍のように細長くなった後、空気と混ざった炎の突きが杏寿郎を襲う。