第45章 ヒノカミのち、蝶屋敷 +
「煉獄さんとは順調のようですね。とっても仲がよろしい様子が伝わって来ました」
「とっても」の部分を明らかに強調された。
「は、はい。お陰様で…しのぶさんは相変わらず鋭くて私、本当にびっくりしてます…」
背中に冷や汗が流れる。この部屋に来て杏寿郎さんの名前は一言も発してないのに……。
「いえいえ、そんな事はありません。……でも私、初めて知りましたよ。蝶って背中にも舞うんですねー」
ん?蝶?背中?
「あの、しのぶさん。背中に蝶って何の事ですか??」
「あら、七瀬さん。ご存知ないのですか?」
………蟲柱の笑顔がとても怖い。
「全く検討がつかないんですけど……」
自分の頭の中は疑問符で埋め尽くされている。
「綺麗な赤い蝶が、5羽程飛んでましたよ。お背中に」
しのぶさんのこれ以上ないぐらい、綺麗な微笑み。
赤い蝶………赤い蝶……赤い…あっ!!!
顔の表面温度が急上昇した。全身の血液が沸騰しそうな勢いだ。
「ん〜〜〜。すみません!!この事は内密に…」
私は顔を真っ赤にしながら、しのぶさんに懇願した。
「ええ、もちろん。診察には守秘義務がありますからね」
それにしても……と彼女は続ける。
「意外でした。煉獄さんがこんなに独占欲がお強い方だなんて」
そして、とっても意地悪なんです……。声にならない返答を表情でしのぶさんに訴えてみる。