第44章 継子達の恋、満開
〜善逸から見た景色〜
「巧さん、吉沢さんと仲良くやってる?」
ここは亡くなった鬼殺隊士が眠っている共同墓地。俺は兄のように慕っていた先輩隊士の墓参りに来ていた。
吉沢さんは巧さんの一期上の先輩隊士。二人はとても仲が良かった。
吉沢さんとはそこまで面識はないのだけど、たまに任務で一緒になった際、助けてもらった事がある。
自分が先程供えた花。
それは七瀬ちゃんや煉獄さんがいつも供えている3色のスターチス。色は白、黄色、紫でまとめてあって花言葉は”途切れぬ記憶”
これは巧さんと一緒に吉沢さんの墓参りに来た時、彼がそう教えてくれた。目を瞑って手を合わせていると、左横から自分を呼ぶ声が聞こえる。
一呼吸置いてその声の主の方を向いてみると、青紫色の着物を着た七瀬ちゃんがいた。
その手には今供えた物と同じ3色のスターチス。
「お花ありがとう」
「ごめん、重なっちゃったね」
俺は両手を合わせて彼女に謝るのだけど、たくさんある方が喜ぶよ!と言って笑ってくれた。
七瀬ちゃんは巧さんの恋人だった人で、煉獄さんの継子になるまで俺、炭治郎、禰󠄀豆子ちゃん、伊之助と一緒に住んでいた。
今もよく「男子3人の生活なんて大丈夫なの?」と母ちゃん…違った。姉ちゃんのように気にして様子を見に来てくれる一期上の先輩隊士だ。