第44章 継子達の恋、満開
「私、七瀬ちゃんが羨ましいな」
「え……どうして?」
羨ましいと人に言う事はあっても、人から言われる事はあまりないので少し面食らってしまった。
カナヲはありがとう、と私の両手を一度ぎゅっと握ってくれた後、ゆっくりと離してお水を一口飲む。
「一緒に修行してたり、隊士になる前の炭治郎を知ってるでしょ?…だから」
……なるほど。
「そっかあ」
「うん…」
お互い、わらび餅をまた一つ口に入れる。美味しいね、と笑い合う私達。
「そのカナヲの気持ちもよくわかるなあ」
「……そうなの?」
うん、と頷いた私は以前蜜璃さんに対して感じた気持ちをカナヲに話した。
「仕方ない事なんだけどさ。自分と会う前の事なんて…。でもね、大好きな人の事は何て言うんだろう。出来る限り、知りたいなあって思う時があって」
うんうん……とゆっくり頷いてくれる彼女。
「後、彼の事は自分だけが独り占めしたい。そんな風にも思う時がある」
「そうだね……」
「実は炭治郎からも手紙来たよ。多分カナヲと同じような件だと思う」
「え……そうなんだ」
うん、と頷いた私はお水を飲んだ後、最後の1つのわらび餅をパクッと口に含んだ。
「カナヲ達も順調で何よりだよ」
「……ありがとう」
そうにっこりと笑ったカナヲはもう本当に惚れ惚れするぐらいに綺麗でかわいかった。