第44章 継子達の恋、満開
私から切り出した方が良いのかなあ?
そのままわらび餅を静かに食べていると、カナヲが楊枝をお皿に置いた。
「話なんだけど…」
「うん…」
「………」
どんどん顔が赤くなっていく彼女。これは…なんとなくだけど、言わんとしている事に検討がついてくる。
「カナヲ、ちょっと耳貸してもらえる?」
「う、うん」
コソコソコソコソ………。
「合ってる?」
「…………………うん」
はあ。なんてかわいい後輩なんだろう。顔だけじゃなくて、心もかわいい。いや、わかっていた事だけど!
「その格好は炭治郎に見てもらう前にまず私に……なんだよね?」
「うん……よくわかったね」
それはね、カナヲ………
「私も先日同じような事をしたの。この甘味処で。沙希はわかる?」
うん、と首を縦にふる友人。
「好きな人には少しでも”綺麗だな”とか”かわいい”って思ってもらいたいもんね…」
「大丈夫。炭治郎はそんな事気にしないと思う」
「そうかな……」
「うん」
カナヲの気持ち、本当にわかるなあ。
「だから勇気出して」
彼女の両手を自分の両手でそっと包む。私と同じ剣士の手。
掌が固いけど、カナヲの心と同じでとても温かくて優しい手だ。