第44章 継子達の恋、満開
席に対面同士で座る。お品書きを手に持つカナヲの指先は、最初にみた通り、女の子らしい桃色で彩られていた。
「決まった?」
「ごめん、まだ…」
「あ、うん。大丈夫だよ、ゆっくりで」
私も改めてお品書きを手に持って眺める。
今日はやっぱり抹茶のわらび餅かなあ。持ち帰りは何味にしよう……。そう考えていた時——
「抹茶のわらび餅にする」
カナヲが私にそう告げた。
「私も抹茶にしようと思ってたんだよ。奇遇だね」
これも店名が以心伝心故かな?
10分後、私達二人の前に抹茶のわらび餅が届けられた。
ぷるぷるのわらび餅のお皿の横には抹茶粉が入っている小さなお皿。私はその小皿を少し傾けて、抹茶をわらび餅に少量ふりかけた。透明なお餅に綺麗な緑色がかかった様は、とても美味しそう。
「いただきます」
私達二人は手を合わせて、楊枝で餅をまず一個口に入れた。
「ん……美味しいね」
「うん」
カナヲのとびきりの笑顔を見ると、私も心が温かくなる。
「七瀬ちゃん…」
「なあに?」
さて、カナヲから何が発せられるのか。
「炎柱様とは、その……どう?」
「え……仲良くしてます」
「それなら良かった」
それきり、カナヲは黙ってしまった。わらび餅をお互い黙々と食べて行く。