第7章 転変の夜 ✴︎✴︎
満月が空に昇っている。
今は6月中旬で、先日梅雨入りしたけど雲一つない綺麗な夜空だ。
………こういう日は巧が亡くなった日の事を思い出して少し辛くなるど、気持ちを切り替えて太刀掛けに置いてある日輪刀を手に持った。
ベルトに差し込んだ後、ふと気になって刀を群青色の鞘から抜いてみる。私の刀身は明るく淡い青を表す空色。鍔の形は羽織と同じ八雲にした。
愛刀とはよく言うけれど、本当に自分にとってそう言った物になっている。
「今日も良い色だなあ」
そう呟いた時だった。刀の色がすうっ……と突然色変わりを始めた。
「………え?」
元の色の面積がどんどん少なくなるのと反比例するように別の色の面積が増えていく。
明るい空色だった刀身は夕暮れを思わせる色に全て変わってしまった。
………これって………茜色??
私は目の前の出来事が信じられず、その場から一歩も動けなくなった。
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※ 茜色(あかねいろ)……茜草の根で染めた暗い赤色
※ 群青色(ぐんじょういろ)……紫みがかった深い青色