第43章 ★ 獅子なる星が降る夜に〜彼目線〜 ★ ✳︎✳︎
ゆっくりと目の前の相手から自分の顔を離して行くと、目を丸くしている彼女がいた。
信じられない…と表情だけで訴えてくる七瀬がたまらなく可愛い。
「……七瀬」
実際に声に出して、彼女の名前を呼ぶ。
「俺も君が好きだ」
本当はこちらから伝えたかったのだが、先を越されてしまった。
「本当に……?」
「こんな時にウソをついてどうする?」
「すみません...私の一方通行だろうなとずっと思っていたので、その……信じられなくて……」
信じられない、か。
「態度には出していたと思うぞ?とは言え、君の事が好きだと自覚できたのはここ最近だ。そう思われても仕方ないな」
先程の自問自答でようやく確信出来たと言った方が正しいだろうか。俺は彼女の焦茶色の双眸をじぃっと覗きこむ。
七瀬は目を逸らす事なく、こちらを見つめてくれた。
「はっきり言ってくれないとわかりませんよ……女の人は言葉に出してもらってようやく“好き”を確信するんですから」
「そうか」
それでは自分がやる事は1つだ。
「俺は七瀬が大好きだ」
彼女の耳の下にそっと手を差し込んだ後、再び自分の唇で熱い思いを伝える。先程と違い、今度は強めの口付けを贈った。