第42章 緋色のあなたへの贈り物 〜さつまいもの甘味を添えて〜 +
「あの杏寿郎さん、勝負って言うのはいつかの恋の勝負ですか?」
宇髄さん宅で彼から提案された時の事を思い出す。
「七瀬…この話の流れで何故そうなる?……剣術での勝負だ」
「ええ?またどうしてですか?」
勝負の理由間違いより、驚きの方が遥かに上まった。
「先程言っただろう?君が俺の継子になって、じき1年。節目だからな。確認しておきたい」
「確かに理由としては納得できますけど…」
うーん。また炎柱と勝負か…。捻挫だけは避けたいな。
「捌ノ型の進歩状況は?」
「先日完成しましたよ」
「うむ、では丁度良い。せっかくだ、父上と千寿郎にも見てもらおう」
「ええ?それ本気ですか?」
彼の目が何だか輝いて来た。やっぱり根っからの剣士なんだなあ…と少し微笑ましくなる私。
「どうした?」
大きな掌が私の左頬をゆっくりと包んでくれた。
「いえ…良い表情をしてるなあって」
杏寿郎さんの右手を上から自分の左手で包むと、彼の顔がすぐ目の前に現れ、唇同士が柔らかく触れ合った。
「君もな…」
「ん…」
啄む口付けをされれば、思考がゆっくりと溶け始める。
「花屋で…何を…ん…話してた?」
「果耶ちゃん…とですか?…あ…ん…気持ちい…」
私は恋人の首に両手を回した。