第42章 緋色のあなたへの贈り物 〜さつまいもの甘味を添えて〜 +
「君達は仲が良いのだな!」
「はい。巧のお墓参りの時にいつもここでお花を買っているので…。あ、もしかして杏寿郎さんもでしたか?」
「ああ、母上がここの花をよく買って来て、家に飾っていたんだ。だから桐谷くんの墓参りに行く時はこの店で買っている」
そうだ、そうだ。巧のお墓参りに一緒に行った時は、ここが休みだったんだ。
「千寿郎がたまに花を購入して飾っているだろう? あれもここで買っている物だぞ」
「確かにそうですね。えー同じ花屋さんだとは思いませんでした。何でそんな話題にならなかったんだろう…」
不思議だなあ。まるでこの日を待ってたような展開。
「お待たせしました。はい、どうぞ」
「ありがとう」
私は果耶ちゃんから掌に収まるぐらいの花束を受け取ると、杏寿郎さんに向き合う。
「杏寿郎さん。3つ目…いえ、4つ目の贈り物です。改めてお誕生日おめでとうございます」
「………これを俺に?」
「はい、そうです。受け取って頂けますか?」
目の前の彼の表情が驚きに満ちている。
私が差し出した小さく可愛い花束は黄色のスターチス。
「花言葉は”愛の喜び” そして”誠実” です。大好きなあなたにはいつも真っ直ぐな自分でいたいから、このお花にしました」
どうぞ、と改めて彼に言うと快く花束を受け取ってくれた。