第42章 緋色のあなたへの贈り物 〜さつまいもの甘味を添えて〜 +
「この後は何が待っているんだ?」
彼が興味津々、と言った様子で私に聞いて来る。
「さあ、何でしょう。杏寿郎さんは私の考えを把握出来てるんじゃないですか?」
「いや、今回は全くわからん」
「あ、それはちょっと嬉しいです」
改めて彼と絡んでいる左手を結び直す。
そのまま歩いていると、お目当てのお店が見えて来た。
「ここです」
「……花屋か?」
「はい、お花屋さんです」
着いた先の看板には「久住生花店」と書いてある。
店先には色とりどりの綺麗な花達。見るだけで癒される。
「七瀬さん、いらっしゃいませ。今日はどのお花に…あ、こんにちは、煉獄さん」
「こんにちは!今日も綺麗な花ばかりだな」
「ありがとうございます!」
あれ?2人は知り合い?
店の中から空色の着物に前掛けをつけた女の子が出て来てくれた。
このお店の看板娘の久住果耶(くずみかや)ちゃんだ。
「こんにちは、果耶ちゃん。今日はね…」
彼女の耳元でコソッと耳打ちする。
「はい、わかりました。七瀬さん…」
今度は彼女がコソッと耳打ちして、お店の中に入って行った。
耳が少し赤くなる。頑張らなきゃ……。