第42章 緋色のあなたへの贈り物 〜さつまいもの甘味を添えて〜 +
——— 居間にて。
「朝からなかなかに凄いな!」
座卓の上に鎮座しているのは鯛めし、具沢山のだご汁、お漬物、そして食卓には出してないけど、さつまいものプリンがある。
これは随分前に作り方を蜜璃さんに教えてもらって、千寿郎くんと私で作った甘味。
さつまいもは煮て柔らかくした後、めん棒でそれを出来るだけ平たくし、プリン液と混ぜて蒸した。プリンの上には小豆2-3個分の大きさのさつまいもを乗せている。
甘味は冷蔵庫で冷やし固めているので、おやつとして午後食卓に出す予定だ。
「杏寿郎、誕生日おめでとう」
「兄上、お誕生日おめでとうございます」
槇寿郎さん、千寿郎くんが杏寿郎さんにお祝いの言葉をかけると、彼は本当に嬉しそうに笑い、2人にお礼を伝えた。
「頂きます!」
3人、そして私の声が合わさる。
最近だご汁は千寿郎くんがかなり上手に作れるようになってしまったので、彼に任せた。
いつだったか、槇寿郎さんが千寿郎くんに「腕を上げた」と言っていたけど、本当にそう思う。
その代わり、鯛めしは私が担当した。鯛は杏寿郎さんが大好きな塩焼きに。お漬物はいつもある常備菜なので、これはまあ普段使いの朝食。
「うまい!!!」と今日の主役の声が一段と響く食卓。千寿郎くんも槇寿郎さんも本当に嬉しそう。
幸せだなあ。私はいつもに増して温かい食卓の雰囲気に癒されていた。