第42章 緋色のあなたへの贈り物 〜さつまいもの甘味を添えて〜 +
「ちょっとスッキリしたかも」
ひとしきり涙を流したら、気分もやや落ち着いた。
薬、飲まなきゃな。
熱でほてった体をゆっくり起こして、そばに置いてあるちり紙で涙の通り道を拭く。
粉薬苦手なんだよね……。まだ熱がそんなに高くない内に近くの医院に行ったらこれを処方された。布団の右横に置いてあるおぼんから薬を手に取る。
自分の名前が書かれている薬袋には”1日2回”飲むように、と指示があった。
水差しから湯呑みに適量の水を注ぎ、粉薬の封を切って口に入れる。んー……粉っぽい。これが本当に嫌!急いで水をゴク、ゴクと飲んで口の中にある薬を全て飲み込んだ。
「ふう……」
湯呑みをおぼんに置くと、私は氷嚢をまた額に乗せて布団に横になる。
38度ぐらいかなあ。39度はないかな。体温計を左脇下に入れて待つ事10分と少し。
取り出してみると、赤い水銀は予想通り、38度5分の所まで上がって来ていた。
隊士をしていると、体の感覚が本当に鋭くなる。
再び布団に横になった。体がいつもより熱くてボーっとする。ふと炭治郎、善逸、伊之助の顔が浮かんで来る。
3人は先週合同稽古で顔を合わせたのだけど、それから2週間程かかる中期の任務に出かけてしまい、今週来週は会えそうにない。
あ、巧のお墓参りも行かなきゃ。月1で欠かさず行ってるもんね。