第42章 緋色のあなたへの贈り物 〜さつまいもの甘味を添えて〜 +
5月9日。
明日は杏寿郎さんの誕生日だ。なのに私は………
「家の事は大丈夫ですよ」
「無理はしないように」
「日頃頑張っているから、休めと言う事だろう。俺達の事は気にするな!」
千寿郎くん、槇寿郎さん、そして杏寿郎さんから言葉をかけてもらった。
これがつい1時間前の出来事。
3人は明日が杏寿郎さんの誕生日と言う事で、久しぶりに写真を撮りに行こう!と出かけてしまった。継子の私も同行する予定だった。
そのはずだったのに—————
今現在。
ここは自分の部屋。
目の前に見えるのは天井。額には氷のう。服装は楽な浴衣。その上には布団がかかっている。
私は発熱してしまった。鬼殺隊に入隊してから初めての体調不良。明日の為に色々用意したかったなあ。
去年は彼が誕生日を迎えた後に煉獄家に来たから、出来なかった。
1ヶ月も前から千寿郎くんと一緒に計画していたのに…。
どうしてこんな時に熱なんか出してしまうのだろう。
涙が右目から一雫垂れると、左目からもまた一雫垂れる。
「明日下がらなかったらどうしよう……」
言葉に出すと涙が次々出て来て、私の両耳とその下の枕を湿らせていく。